玉井の味噌づくり。10の真面目に、丁寧に。

蔵元玉井の、味噌づくり。

玉井味噌は、信州の中心、筑北村にあります。山国である信州では、古くより食塩の確保・保存に苦労してきました。そのような環境のなか、味噌という形で食塩の保存を実現したのは先人の知恵といえるでしょう。
筑北村では、毎年4月ごろ、住民が自分たちで作った大豆と米を持ち寄り、地域ごとに協力して味噌を仕込むという風習がありました。これがいわゆる“仕込み味噌”と呼ばれるもので、仕込んだ味噌をそれぞれの家庭に持ち帰り、発酵・熟成させます。味噌は熟成期間や環境などにより味が変わるので、同じ材料で仕込んだ味噌でも、それぞれのご家庭の味ができたものです。
玉井味噌は、地域で協力して生み出した味噌づくりの伝統技術を継承しながら、真面目と丁寧を盛り込んだ味噌づくりをしています。

原料の選定

味噌は大豆と米と塩でつくるシンプルな調味料です。だからこそ、原料の選定は、味噌の旨みや香りのよさに大きく影響する大切な工程です。
事前にサンプルで確認し選び抜いた原料を仕入れるのはもちろんのこと、色彩選別済みの原料を工場へ搬入しています。また、搬入の都度、大豆や米の状態をしっかりと確認し、品質基準に満たない大豆や米を省くなど、厳しい品質管理を行っています。

洗浄・浸漬

基準をクリアした大豆は、筑北村の豊富な水源を利用して研磨・洗浄し、細かなほこりや異物を除去したのち、一晩水に漬けておきます。この工程を浸漬(しんせき)といいます。
米も異物除去をしたのちに浸漬しますが、米の浸漬時間が麹のできを左右するため、真面目さが必要な工程です。一年中同じ浸漬時間とするのではなく、季節や気温等をふまえて、その時々の最適な時間に調節しています。

蒸煮

蒸煮(じょうしゃ)は大豆をやわらかくする工程です。一晩浸漬した大豆を回転式加圧蒸煮容器で蒸煮すると、真っ白い湯気と、やわらかく食べごろとなった大豆の香りが広がります。
玉井味噌では【蒸す】と【煮る】の、二種類の蒸煮方法を採用しています。蒸した大豆を使った味噌は赤仕込み、煮た大豆を使った味噌は白仕込みという、違った色・味わいになるためです。二種類の方法をとることで、お客さまのお好みに合った味噌をお選びいただけるようになります。

床寝・製麹

床寝(とこね)と製麹(せいきく)は、米麹をつくる工程です。
浸漬によって適度に吸水した米を蒸米機でほどよく蒸します。米の香りや味を確認し、指でひねり潰してやわらかさを確認したのち、適温まで冷やして麹菌の胞子を蒸米に接種します。これを種付(たねつけ)といいます。
種付を終えた蒸米を床寝室(とこねしつ)に移動し、麹菌が繁殖しやすい温度・湿度で管理しながら一晩寝かせます。
その後、製麹室(せいきくしつ)に移します。麹菌の繁殖が進むと麹の品温が高くなります。しかし、麹菌は自分の出した熱でありながら、温度が高くなりすぎると一部が死滅してしまうのです。そうならないよう、温度の上昇を防ぐための撹拌と送風による手入れ作業を実施して温度を調節しながら一晩管理します。
味噌づくりにおいて最も真面目さ、丁寧さが求められる二晩を乗り越えて、ようやく米麹が完成します。

仕込み

味噌の原料である大豆・米麹・塩を合わせて樽に詰める工程です。大豆はチョッパーを通して細かくしてから使います。
味噌の種類ごとに、玉井味噌独自の配合を用いて適切に計量し、原料を混ぜ合わせます。さらに筑北村のおいしい水と最適な培養状態となった酵母を加え、撹拌機で丁寧に混ぜ合わせます。
仕込みを終えた原料は諸味(もろみ)と呼びます。この段階ではまだ、大豆そのものの色をしていますが、しょっぱい豆ペーストといった食感で、豆の香りしかしません。このあと、味噌となるために大切な工程である発酵・熟成に進みます。

発酵・熟成

諸味を隙間がないようにタンクに詰め込み、重石を載せ、ビニールをかぶせて温醸室で発酵させます。重石により味噌液だまりを防止し、ビニールによって長期の熟成期間において清潔を保つためです。
温醸室は、味噌の品温を30度に維持するよう管理して熟成させますが、味噌は発酵の状況に違いがあるため、色・味・香りを確認しながら調節します。温醸室は発酵中の諸味が醸し出すアルコールの香りが漂っていますが、まだ味噌の香りとは少し違います。
温醸室での発酵を終えたのち、冷醸室に移動させ、低温での熟成を行います。
白仕込み味噌は、温醸室で30日・冷醸室で30日の合計60日間、赤仕込み味噌は、温醸室で60日・冷醸室で30日の合計90日間熟成。これを基本とし、種類によってはさらなる熟成期間を設けています。商品ごとの色・味・香りになるよう適切に管理しながら、おいしく熟成されるのを待ちます。

天地返し

味噌を均等に熟成させるため、また、酸素を供給することで酵母の働きを活性化させるために、タンク内の上部と下部の味噌を入れ替えることを天地返し、または切返しといいます。発酵中に1回行いますが、種類によっては熟成後にもう一度天地返しを行います。このひと手間を加えることで、さらに香り高くおいしい味噌が完成します。

充填・包装

自動充填と手動充填の設備を備えていますが、玉井味噌オリジナル商品はすべて手動で充填を行っています。どちらの充填方法においても、金属探知機、ウェイトチェッカー、ラベル検知器などの各種検査を実施して、安心・安全な商品をお届けできるよう心がけています。手動での充填作業ではさらに丁寧な目視チェックをしながら、より安心・安全な味噌をお届けすることができます。
また、包装・出荷時は商品を丁寧に扱い、おいしい味噌だけでなく優しさも一緒にみなさまのお手元へお届したいという気持ちを込めて作業しています。

分析

分析室を設け、酵母菌の数、pH、色、賞味期限など、味噌に関わるさまざまな分析を行い、基準をクリアしているかどうかを常に確認しています。
酵母菌を数えて培養状態をチェックし適切な状態になってから仕込みに使うといった味噌づくりの段階に関わる分析はもちろんのこと、安心・安全な商品をお届けするための、完成した味噌の品質チェック、出荷チェックも怠りません。

排水処理

無添加の味噌をつくる工場とはいえ、そのまま廃水すると環境に影響を与えてしまいます。味噌の主原料である大豆には、たんぱく質が多く含まれているためです。そこで、工場の横に排水処理施設を設けました。バクテリアで分解したのち、さらに中空糸膜を使ってろ過することで、排水基準を下回る、飲めるレベルの水にしてから排水しています。
玉井味噌の工場は、自然豊かな、味噌づくりに適した地にあります。地元でもおいしいと評判の水も流れている地域です。おいしい水はおいしい味噌に必要な宝物。これからもおいしい味噌をつくり続けるために、地域の自然も守り続けます。

昔の味噌づくりの技術を将来へ。真面目に、丁寧に、ふるさとの味を届けます。株式会社 玉井味噌 副総括責任者 北條一浩

玉井味噌のおいしさの秘訣は、筑北村の自然にあります。水も空気もおいしく、味噌の醸造に適した信州筑北村で作るからこその味わいがあります。

そのうえで大切なのが、真面目さと丁寧さ。これは玉井味噌創業当初からのモットーです。おいしい味噌をつくるため、ひとつひとつの工程を真面目に、丁寧に。心を込めておつくりしています。

きちんと目で見て、味わって、手で触れて。本当においしい味噌をつくるためには、すべてを機械任せにすることはできません。機械の力を借りつつも、大切なところは真面目に、丁寧に、人が関わる。機械と人、そのバランスを大切にしています。

玉井味噌の工場には、加熱殺菌設備はありません。火入れをしない生味噌をつくっています。大豆と米と塩という、昔ながらの素材だけを使った無添加の生味噌。昔ながらの、この地域の味噌です。玉井味噌はもともと、地域の味噌づくりが土台にありました。筑北村のふるさと納税返礼品として当社の味噌の人気が高いのも、味噌に故郷の味を求める人が多いからではないでしょうか。

これからも、昔ながらの製法を大切にしたい。昔の技術を伝承していきたい。
私たち玉井味噌は、そのように考えています。